色々な慢性疾患の治療

五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩は老化現象によって肩関節に痛みと関節の運動制限がおこる病気です。肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨からなり、骨の周囲には筋肉によって支えられています。 骨と筋肉は腱によって結合されています。肩の腱は平たい板の様になっているので腱板と呼ばれています。 また、肩関節の周囲には滑液包という袋があり、関節がスムーズ に動く働きをしている。腱板が傷んで、変性と炎症を起こし、滑液包にも炎症が起こり 、腕を上げる時に痛みが起こります。このように肩関節周囲に炎症が進行すると関節の癒着がおこり、動きにくくなります。これが、五十肩の病態です。 五十肩は50歳代で発症することが多い病気ですが、40歳代や60歳代でも起こります。初期の症状は肩を動かす時に痛みが起こり、しだいに、動かさなくても肩にうずくような痛みが出現してきます。腕を挙げて、髪とかしたり、背中の後ろでひもを結ぶ動作ができなくなります。

長時間、腕を上げたままにしていると五十肩を発症することがありますので、注意が必要です。

西洋医学的治療について

急性期-局所の安静と消炎鎮痛剤の服用です。

慢性期-理学療法・拘縮改善のための運動療法(他動運動、自動運動)、温熱療法

漢方治療について-漢方薬も五十肩には有効の場合が多いです。

体力がある場合(実証)

・越婢加朮湯・小便が少なく口渇がある時に用いられます。

体力ふつうの場合(中間証)

・二朮湯・肩関節周囲炎に対して第一選択に用いられます。

体力がない場合(虚証)

・桂枝加朮附湯・胃腸虚弱の時に用いられます。

〔実例〕Tさん、四十九歳、五十肩の治療を希望されて平成八年六月一日に来院されました。二年前より右肩が挙がらなくなったと訴えています。肩は冷えるとよくないと言います。二朮湯加附子(附子〇・五)を与えたところ、三か月間服用して症状は著明に改善しました。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は50歳台以上の中高年者で肥満した女性に多くみられます。初期の症状は、正座の時や階段昇降の時に痛みを訴えます。病状が進行すると、痛みがひどくなり正座は不可能となります。

一般に関節とは2つの骨と骨をつなぐ、つなぎ目にあたります。2つの骨の先端は2~4mmの軟骨があり、関節を曲げる時のクッションの役割をしています。関節の内側には滑膜という薄い膜があります。滑膜は関節液を分泌したり、吸収したりする働きがあります。変形性膝関節症とは、簡単に言えば関節の老化現象によって起こるものです。年をとるにつれて、関節の軟骨が衰え、徐々にすり減っていきます。軟骨がはがれて、滑膜を刺激して、滑膜に炎症が起こり、痛みが起こります。滑膜の炎症により、関節内に過剰な水がたまっきて、変形性膝関節症という病気になります。 日常生活の注意点としては、膝に負担をかける姿勢は避けるようにした方がよいと思います。西洋医学的治療としては、湿布して痛みを軽減したり、鎮痛薬で痛みを抑えたり、サポーターで関節を 固定する、という治療法があります。しかし、湿布薬で皮膚炎を起こしたり、鎮痛薬の副作用で胃腸障害や吐血を引き起こすこともあります。変形性膝関節症に対して漢方薬がなかなか良い効果を示す場合があります。

変形性膝関節症に対する漢方薬としては、次の様な漢方薬があります。

体力がある場合(実証)

実証・越婢加朮湯合防已黄耆湯・小便が少なく口渇がある時に用いられます。

体力ふつうの場合(中間証)

中間証・防已黄耆湯・色白で水太り気味の人に第一選択に用いられます。

体力がない場合(虚証)

虚証・桂枝加朮附湯合防已黄耆湯・胃腸虚弱の時に用いられます。

〔実例〕六十八歳の婦人Fさん。平成三年九月八日、腰痛と両膝の疼痛の為に当院を受診しました。西洋医学的診断は変形性膝関節症でした。汗かきで肥満して水っぽい皮膚をしていました。防已黄耆湯エキスを投与しました。四週間服用して腰と膝の疼痛はうその様に改善したということです。