色々な慢性疾患の治療

糖尿病

糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度(血糖)が異常に高くなる(高血糖)病気です。典型的な症状としては、口渇、多尿、多飲、体重減少などがあります。糖尿病は、遺伝や環境、生活習慣などのさまざまな要因によって起こります。高血糖の起こる要因は、①膵臓から分泌されるインスリンの量が減少する、②血液中のブドウ糖が利用されない、③ブドウ糖産生の増加する、などがあります。実際の診療の場では現在は、糖尿病は1型、2型と分類されています。1型糖尿病は、膵臓からのインスリンの分泌がないタイプで、インスリンの注射をしないとすぐに死んでしまいます。2型糖尿病は、簡単には、膵臓から分泌されるインスリンの量が少ないタイプをいいます。2型糖尿病は、食事やのみ薬で治療できる場合がありますが、しかし、2型糖尿病でも重症な患者さんではインスリン注射が必要な場合があります。血糖が高いまま放置しておくと、血管や神経が障害され、いくつかの重大な合併症を引き起こします。糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、神経障害が糖尿病の3大合併症と言われています。糖尿病性網膜症は、網膜の毛細血管が高血糖によって障害を受け、出血や視力が低下し、失明することがあります。日本では毎年3000人以上が糖尿病のために失明しています。腎臓も血管のかたまりですから、高血糖によって血管が障害を受け、腎臓機能が障害されます。腎臓は身体にとって不要な老廃物を尿から体外に排泄していますが、この腎臓の機能が障害されると、タンパク尿が出たり、最終的には腎不全になり、人工透析を受けなければならなくなります。糖尿病の神経障害は、糖尿病の発症後の比較的早期から認められます。左右対称に手や足の感覚が消失したり、しびれ感、ちくちく感、ザワザワ感、灼熱感などの症状が起こります。

糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法がありますが、食事療法が重要です。1、食事療法・乏しいインスリンを有効に活用するために自分にとって適正なエネルギー量を知ることが大切です。表1の式で求めます。

適正なエネルギー量が分かったら、糖尿病の食品交換表や糖尿病の食事療法の書物などを参考にして献立をつくります。こつは野菜などカロリーの低いものの量を増やして、食事の満足感を得る。食べる時には、よくかんでゆっくり食べ、いろいろな食品をバランスよく食べることが大切です。糖尿病の食事療法のコツは、①間食を止める、②御飯は一膳をよく噛んで(30回?む)ゆっくり食べる、③油や甘いものはできるだけ避ける、④野菜を多くとる、⑤晩酌はビール350ml、ただし飲んだ時は御飯は半膳にする。

2、運動療法・1回15分以上、1日2~3回行ないます。具体的には、少し早足で歩くのが簡単にできます。バスで通勤する場合は、少し早起きして、停留所1つ分歩くようにしたり、できるだけ階段を利用し、エレベーターやエスカレーターを使わないようにします。    

3、薬物療法-血糖をコントロールするために、内服薬とインスリン注射があります。

○内服薬 

α-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)-小腸で糖質の分解を遅らせ、食後の高血糖を抑える作用があります。

スルホニル尿素薬(ダオニール、オイグルコン)-膵臓のβ細胞を刺激して、インスリン分泌を高める作用があります。

ビグアナイド薬(メルビン)-肝臓からのブドウ糖の放出を抑えたり、筋肉でインスリンの作用を助けます。

○インスリン注射-内服薬のみで血糖値をコントロールできない時はインスリン注射療法に切り替えます。

○漢方治療-かなり有効な場合があり、食事療法、運動療法、現代医学の薬物療法と併用すると良いでしょう。麻黄や人参には血糖を下げる効果があります。

体力がある場合(実証)・続命湯(麻杏甘石湯合人参湯)は血糖やHbA1cを改善する効果があります。動物実験や臨床試験でも有効性が証明されています。         

体力がない場合(虚証)・人参湯や四君子湯などを用います。

[実例]40歳、男。糖尿病の漢方治療を希望して1994年7月1日初診。約3年前より糖尿病と診断されています。他の病院で、食事療法、運動療法、薬物療法(ダオニール0.75mg)を行なっていて、グリコヘモグロビンは9台でした。体力があり実証と判断して、続命湯を処方しました。検査データは徐々に改善して6カ月後には、グリコヘモグロビンは8、一年後にはグリコヘモグロビンは、7になり、現在まで順調な治療経過です。

必要カロリー                            

身長(m)×身長(m)×22×a=( )kcal

aは運動量に見合った指数

事務職で室内活動が主  25    

重労働でないが外出多い 30    

重労働40

例 身長160cmの人で、事務職で室内活動が主な場合           

1.6×1.6×22×25=1408kcal 

が一日の適正なエネルギー量です。

血糖をコントロールの目安-空腹時血糖値110 mg/dl未満

食後2時間後の血糖値 140 mg/dl未満

HbA1c6%未満

とくにHbA1c(グリコヘモグロビン)が重要です。

HbA1cは最近1~2カ月の平均的な血糖値を表します。

HbA1c5.8%未満を「優」、

6.5%以下を「良」、

8%未満を 「可」、

8%以上を 「不可」としています。

6.5%以下であれば合併症は進行しないとされています。

HbA1cの数字が大きい程コントロール不良を表します。